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会社設立時の印鑑Q&A:必要な印鑑の種類と作成タイミング完全ガイド

会社設立には法人実印・銀行印・角印の3種類の印鑑が必要です。法人実印は定款認証前までに準備し、銀行印と角印は口座開設時と業務開始前にそれぞれ用意します。

本記事では、会社設立時に必要な印鑑の種類、作成タイミング、注意点について、よくある質問と回答形式で詳しく解説します。

目次

会社設立で必要な印鑑の種類と基本知識

法人印鑑は何種類必要ですか?

会社設立には基本的に3種類の印鑑が必要です。法人実印(代表者印)、法人銀行印、法人角印がそれぞれ異なる用途で使用されます。

法人実印は会社の代表者が法務局に登録する印鑑で、契約書や重要書類への押印に使用します。法人銀行印は金融機関での口座開設や金銭取引で使用し、法人角印は請求書や見積書などの社外文書に押印します。

個人の印鑑と法人印鑑の違いは何ですか?

法人印鑑は会社名と役職名が刻印され、個人印鑑よりもサイズが大きく作られます。法人実印の標準サイズは直径18mm、個人実印は15mm程度が一般的です。

法人印鑑には外周に会社名、内周に役職名(通常は「代表取締役印」)が刻印されます。個人印鑑は氏名のみの刻印となるため、用途や法的効力も大きく異なります。

印鑑の作成タイミングに関するQ&A

会社設立時の印鑑はいつ作るべきですか?

法人実印は会社名確定後すぐに作成し、定款認証前までに準備する必要があります。定款認証時に公証人役場で法人実印の押印が求められるためです。

会社名の決定から定款認証まで通常1〜2週間程度の期間があります。印鑑作成には3〜7日程度かかるため、会社名が確定したら即座に発注することをおすすめします。

定款認証前に印鑑登録は必要ですか?

定款認証前の印鑑登録は不要です。法人実印の登録は会社設立登記申請時に法務局で行います。

定款認証では印鑑の登録ではなく、実際に押印することで本人確認を行います。そのため定款認証時点では印鑑の現物があれば十分で、事前登録は必要ありません。

銀行印と角印の作成タイミングはいつが最適ですか?

銀行印は会社設立登記完了後の口座開設時までに準備します。角印は事業開始前、請求書や見積書の発行が始まる前までに作成すれば問題ありません。

多くの起業家は法人実印と同時に銀行印・角印も作成します。一括発注により印鑑の統一感が保たれ、コストも抑えられるメリットがあります。

法人印鑑と個人印鑑の使い分けに関するQ&A

法人印鑑と個人実印は兼用できますか?

法人印鑑と個人実印の兼用は法律上不可能です。法人格と個人は別の存在として扱われ、それぞれ専用の印鑑を作成する必要があります。

会社設立後は代表取締役個人の立場と、会社代表者としての立場を明確に分ける必要があります。契約の際も個人契約なのか法人契約なのかを印鑑で区別するため、兼用は認められていません。

個人事業主から法人化する際の印鑑はどうなりますか?

個人事業主時代の印鑑は法人化後に使用できません。法人として新たに法人印鑑を作成し、法務局に登録する必要があります。

個人事業主の印鑑には個人名のみが刻印されているため、法人名を含む法人印鑑とは全く別物として扱われます。法人化と同時に印鑑も新調することが必須です。

代表取締役が複数いる場合の印鑑はどうなりますか?

代表取締役が複数いる場合、各代表取締役がそれぞれ法人実印を作成・登録できます。ただし法務局に登録するのは通常1つの印鑑のみです。

複数の代表取締役印を登録したい場合は、追加の手続きと費用が必要になります。実務上は代表取締役の中から1名を選んで、その方の印鑑を代表印として登録するケースが一般的です。

銀行印の複数作成に関するQ&A

銀行印は複数作るべきですか?

複数の銀行口座を開設予定の場合、リスク分散のために銀行印を分けることを推奨します。1つの印鑑を紛失した場合でも、他の銀行取引への影響を最小限に抑えられます。

メインバンクとサブバンクで別々の銀行印を使用すれば、セキュリティが向上します。特に取引量の多い会社では、銀行印の分散管理が重要なリスクマネジメント策となります。

同じ銀行印を複数の銀行で使用できますか?

同じ銀行印を複数の金融機関で使用することは可能です。法的な制限はありませんが、セキュリティ面では推奨されません。

1つの印鑑を複数の銀行で使用すると、印鑑の紛失や盗難時に全ての銀行口座に影響が及びます。また印鑑の使用頻度が高くなり、摩耗による印影の変化リスクも増加します。

銀行印のサイズや書体に制限はありますか?

銀行印のサイズは直径16.5mm程度が標準的で、多くの金融機関で推奨されています。書体は篆書体や古印体が一般的に使用されます。

各金融機関により印鑑のサイズ制限が設けられている場合があります。口座開設前に各銀行の印鑑規定を確認し、適切なサイズで作成することが重要です。

角印の必要性と使用場面に関するQ&A

角印は法的に必要な印鑑ですか?

角印は法的に必須の印鑑ではありません。しかし請求書・見積書・領収書などの社外文書に押印する慣習があり、ビジネス上の信頼性向上に役立ちます。

角印の押印により文書が正式な会社発行物であることを示せます。取引先への印象向上や、文書の真正性担保のために多くの会社が角印を使用しています。

どのような場面で角印を使用しますか?

角印は請求書、見積書、領収書、納品書、証明書類などの社外向け文書に使用します。契約書などの重要書類には法人実印を使用し、角印は使用しません。

日常的な営業活動で発行する文書の多くに角印を押印します。角印があることで文書の公式性が高まり、取引先からの信頼獲得につながります。

文書の種類使用する印鑑押印の必要性
契約書法人実印必須
請求書角印慣習
見積書角印慣習
領収書角印慣習
登記申請書法人実印必須

角印のサイズや形状に決まりはありますか?

角印のサイズは21mm角または24mm角が一般的です。形状は正方形で、会社名のみまたは会社名と「印」の文字を刻印します。

角印は丸印(法人実印・銀行印)と区別するため四角い形状で作成されます。シンプルな会社名のみの刻印が最も多く使用されており、読みやすさを重視した書体選択が推奨されます。

電子契約時代の印鑑の位置づけに関するQ&A

電子契約が普及しても印鑑は必要ですか?

電子契約が普及していますが、法人実印が必要な法定手続きは依然として存在します。登記申請、公的手続き、一部の契約では物理的な印鑑押印が求められます。

完全なペーパーレス化が進んでいない現状では、電子契約と従来の印鑑押印を併用するハイブリッド運用が現実的です。将来的な完全電子化に備えつつも、現在は両方に対応できる体制が必要です。

電子印鑑と物理的な印鑑の法的効力は同じですか?

電子印鑑と物理的な印鑑の法的効力は基本的に同等ですが、適用場面に違いがあります。法務局への登記申請など一部の手続きでは物理的な印鑑が必須です。

電子署名法により電子契約の有効性は認められていますが、印鑑登録制度は物理的な印鑑を前提としています。そのため法的手続きの種類により使い分けが必要となります。

今後印鑑は不要になりますか?

完全に印鑑が不要になる時期は未確定です。政府のデジタル化推進により印鑑レス化は進んでいますが、慣習や法制度の変更には時間を要します。

当面は電子契約と印鑑押印の併用期間が続くと予想されます。新規設立会社でも、最低限の印鑑は準備しておくことが安全策といえます。

印鑑作成時の注意点とポイント

印鑑の材質はどれを選ぶべきですか?

法人印鑑の材質は柘(つげ)、黒水牛、チタンが人気です。耐久性と押印の鮮明さを重視するなら黒水牛やチタンがおすすめです。

使用頻度の高い法人実印には耐久性の高い材質を選択します。コストを抑えたい場合は柘、高級感を求めるなら象牙(ワシントン条約により新規入手困難)やチタンを検討します。

印鑑の書体はどれが適していますか?

法人印鑑の書体は篆書体(てんしょたい)が最も多く選ばれています。偽造防止効果が高く、格式のある印象を与えるためです。

篆書体は複雑な字体で偽造が困難な特徴があります。古印体や隷書体も選択可能ですが、セキュリティ面では篆書体が最も安全とされています。

印鑑証明書の取得方法を教えてください

法人の印鑑証明書は法務局で取得できます。オンライン申請、窓口申請、郵送申請の3つの方法があり、手数料は1通450円です。

印鑑証明書の取得には印鑑カード(印鑑届書提出時に申請)が必要です。代表取締役本人以外が取得する場合は委任状が必要になります。

印鑑管理とセキュリティに関するQ&A

法人印鑑の保管方法で注意すべき点は?

法人印鑑は金庫などの安全な場所に保管し、使用時以外は施錠します。印鑑と印鑑証明書は別々の場所に保管することが重要です。

印鑑の管理責任者を明確にし、使用記録を残します。複数人で印鑑を共有する場合は、使用者・使用目的・使用日時を記録するルールを設けます。

印鑑を紛失した場合の対処法は?

法人実印を紛失した場合、速やかに法務局で印鑑の廃止届を提出し、新しい印鑑で改印手続きを行います。銀行印の場合は各金融機関に紛失届を提出します。

紛失発覚から手続き完了まで印鑑が悪用される可能性があります。取引先への連絡、警察への紛失届提出も検討し、被害防止に努めます。

印鑑の偽造防止対策はありますか?

偽造防止には複雑な書体の選択、高品質な材質の使用、信頼できる印鑑店での作成が効果的です。また印鑑の使用を必要最小限に留めることも重要な対策です。

最新の偽造防止技術として、マイクロ文字の埋め込みや特殊加工を施した印鑑も存在します。重要度の高い契約に使用する印鑑では、こうした先進技術の活用も検討できます。

印鑑作成の費用と業者選択

法人印鑑の作成費用はどれくらいですか?

法人印鑑3本セット(実印・銀行印・角印)の費用は材質により5,000円〜50,000円程度です。柘であれば5,000円〜10,000円、黒水牛なら15,000円〜25,000円が相場です。

急ぎで作成する場合は即日・翌日仕上げのオプション料金(2,000円〜5,000円程度)が加算されます。品質と価格のバランスを考慮して選択することが重要です。

信頼できる印鑑作成業者の選び方は?

実績豊富で品質保証のある印鑑店を選択します。彫刻技術、アフターサービス、納期の確実性を重視し、口コミや評判も参考にします。

法人印鑑は長期間使用するため、安価すぎる業者は避けるべきです。適正価格で高品質な印鑑を提供し、修理やメンテナンス対応も行う業者が理想的です。

まとめ:会社設立時の印鑑準備のポイント

会社設立には法人実印・銀行印・角印の3種類の印鑑が必要で、それぞれ異なるタイミングで準備します。法人実印は定款認証前、銀行印は口座開設前、角印は事業開始前までに作成することが重要です。

印鑑の管理とセキュリティに十分注意し、電子契約時代でも必要な場面があることを理解して準備を進めましょう。適切な印鑑準備により、スムーズな会社設立と事業運営が可能になります。

  • 法人実印:会社名確定後すぐに作成、定款認証前までに準備
  • 銀行印:複数作成でリスク分散、各金融機関の規定確認
  • 角印:法的義務はないが社外文書の信頼性向上に有効
  • 電子契約:普及しているが物理印鑑も当面必要
  • セキュリティ:安全な保管と使用記録の徹底

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